「差別化しなきゃ」と焦る前に、あなたの会社の”本当の強み”を知っていますか?
「競合他社との差別化が必要だ」
「もっと売上を伸ばさなければ」
「このままでは生き残れない…」
小規模事業を経営する多くの方が、こうした焦りを抱えています。
しかし、いざ「うちの強みは何ですか?」と聞かれると、
「うーん…サービスの質には自信があります」
「お客様との距離が近いことでしょうか」
といった、曖昧な答えになってしまう経営者が少なくありません。
実は、こうした「感覚的な経営」こそが、多くの中小企業が伸び悩む最大の原因なのです。
先日、ダイヤモンド・オンラインに掲載された経営コンサルタント小宮一慶氏の記事「自社の強みを考えるときの、3つのポイントとは?」を読み、改めて「経営数字の重要性」を再認識しました。
税理士として日々、多くの経営者とお話しする中で痛感するのは、「数字を見ていない経営者ほど、自社の本当の強みが分かっていない」ということです。
今回は、この記事をもとに、感覚経営から脱却し、数字で自社の強みを見える化する方法について解説します。
【経営数字の基本】なぜ「感覚経営」では限界があるのか?
感覚だけでは市場の変化に対応できない
「今月は売上が良かった気がする」
「あの商品は人気があるはずだ」
こうした”感覚”だけで経営判断をしていると、気づいたときには手遅れ…ということが起こります。
なぜなら、市場環境や顧客ニーズは日々変化しており、感覚だけではその変化を正確に捉えられないからです。
たとえば、
- 売上は伸びているのに、なぜか手元にお金が残らない
- 忙しく働いているのに、利益が出ていない
- 人気商品だと思っていたのに、実は利益率が低かった
こうした問題は、数字を見ていないから気づけないのです。
経営数字を見ることで「見えなかった強み」が浮かび上がる
逆に、売上高、粗利率、客単価、リピート率、キャッシュフローといった経営数字を定期的にチェックすることで、
「実はこのサービス、利益率が圧倒的に高い!」
「このエリアでは、競合よりシェアが高い」
「リピート率が高い顧客層が明確に見えてきた」
といった「データに裏付けられた強み」が明確になります。
これが、戦略的な経営判断の土台となるのです。
【成功企業の共通点】飛躍した会社が見ている「3つの重なり」とは?
小宮一慶氏の記事では、飛躍的に業績を伸ばした企業の共通点として、ジェームズ・C・コリンズ著『ビジョナリー・カンパニー2』の研究結果が紹介されています。
それが、次の「3つの重なり」です。
① 世界一になれる分野|自社の強みを数字で把握する
「世界一」と聞くと、「うちみたいな小さな会社には無理…」と思うかもしれません。
しかし、ここでいう「世界一」とは、「ある特定の領域・ニッチ市場で他社に負けない強みを持つこと」を指しています。
たとえば、
- 「地域密着型で、この地域では圧倒的なシェアを持っている」
- 「特定業界向けのサービスでは、競合他社より高い顧客満足度を誇る」
- 「商品Aの粗利率は、業界平均の1.5倍ある」
こうした「小さな世界一」を数字で把握することが、戦略の出発点です。
② 働く人がワクワクすること|チームのモチベーションを高める
どれだけ利益が出ても、従業員が疲弊していては持続可能な経営はできません。
成功する企業は、「働く人が情熱を持てる事業」を選んでいます。
たとえば、
- 「お客様に喜ばれる瞬間が、スタッフのやりがいになっている」
- 「この技術を極めたい、という職人気質のチームがいる」
こうしたモチベーションは、売上だけでなく、顧客満足度やリピート率といった数字にも表れます。
③ 経済的原動力となること|キャッシュフローを生み出す
どれだけ「良い事業」でも、キャッシュフローを生まなければ会社は存続できません。
「売上は伸びているのに、お金が残らない…」という悩みを抱える経営者は多いですが、これはキャッシュフロー経営ができていない証拠です。
たとえば、
- 売掛金の回収が遅れている
- 在庫を抱えすぎている
- 固定費が売上に対して高すぎる
こうした問題は、損益計算書だけでなく、キャッシュフロー計算書や貸借対照表を見て初めて分かることです。
【差別化の本質】「強み」は相対的なもの|競合分析と数字がカギ
強みとは「お客様から見た他社との違い」
多くの経営者が勘違いしているのは、「自分が思う強み」と「お客様が感じる強み」が違うということです。
「うちは接客が丁寧だから」と思っていても、競合他社も同じレベルなら、それは強みにはなりません。
強みとは、常に相対的なものです。
つまり、
- 競合のサービス内容や価格を定期的に調査する
- 自社の数字(売上構成、粗利率、リピート率など)と比較する
- お客様の声(アンケートやレビュー)をデータ化する
こうした「競合分析×自社の数字」の掛け合わせで、初めて本当の強みが見えてくるのです。
中小企業ならではの強みを数字で見える化する
小宮氏の記事では、中小企業と大企業それぞれの強みが挙げられています。
【中小企業の強み】
- 人件費や管理コストを抑えられる
- 意思決定が速く、小回りが利く
- 少人数だからこそ、徹底した教育ができる
たとえば、
- 「大手より人件費率が10%低い」→ 価格競争力がある
- 「問い合わせから提案までが3日以内」→ スピードが強み
- 「従業員一人当たりの売上高が業界平均の1.2倍」→ 生産性が高い
こうした具体的な数字で強みを語れるようになると、
お客様への提案も、金融機関への説明も、説得力が格段に上がります。
【KPI設定の重要性】経営数字を”経営の羅針盤”にする方法
適切なKPI(重要業績評価指標)を設定しよう
記事では、「KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)」を決めることの重要性が強調されています。
たとえば、
- 一人当たりの時間あたり生産性(付加価値額)
- 坪当たり売上高
- 客単価・リピート率
- 粗利率
こうした指標を毎月モニタリングすることで、
「今月は生産性が下がっているな。何が原因だろう?」
「この商品、売上は伸びているけど粗利率が低い。価格設定を見直すべきか?」
といった、データに基づく経営判断ができるようになります。
決算書は「成績表」ではなく「羅針盤」
多くの経営者が、決算書を「年に一度、税理士に作ってもらうもの」と思っています。
しかし、本来、決算書(試算表)は毎月見るべき「経営の羅針盤」です。
- 損益計算書 → 利益がどこから生まれているか?
- 貸借対照表 → 資産・負債のバランスは健全か?
- キャッシュフロー計算書 → お金の流れは問題ないか?
この3つを毎月チェックすることで、
「売上は伸びているのに、なぜ現金が増えないのか?」
といった問題に、早期に気づけるのです。
【今日から始める】小規模事業者がすぐにできる経営数字の活用法
ステップ1:毎月の試算表を確認する習慣をつける
まずは、毎月、試算表を確認する習慣をつけましょう。
税理士に「毎月、試算表をください」とお願いすれば、すぐに対応してもらえます。
最初は難しく感じるかもしれませんが、
- 売上高
- 売上総利益(粗利)
- 営業利益
- 現預金残高
この4つだけでも、毎月見る習慣をつけることが第一歩です。
ステップ2:売上構成を商品・サービス別に分析する
「どの商品・サービスが、一番利益を生んでいるか?」
これを知るだけで、経営判断が大きく変わります。
たとえば、
- 売上の30%を占める商品Aは、実は粗利率が低い
- 売上の10%しかない商品Bが、粗利の25%を稼いでいる
こうした分析をすることで、
「商品Bをもっと強化しよう」
「商品Aは、価格改定か仕入れコスト削減が必要だ」
といった戦略が見えてきます。
ステップ3:競合他社の情報を定期的に収集する
自社の数字だけでなく、競合の動向も定期的にチェックしましょう。
- 競合のホームページやSNSをチェック
- 価格やサービス内容を比較
- 可能なら、業界平均のデータを入手する
こうした情報と自社の数字を照らし合わせることで、
「うちの価格設定は適正か?」
「競合と比べて、どこが優れているか?」
が明確になります。
【まとめ】感覚経営から脱却し、数字で「強み」を見える化しよう
今回ご紹介した小宮一慶氏の記事から学べるのは、
✅ 成功企業は「世界一になれる分野」「ワクワクすること」「キャッシュフローを生むこと」の3つが重なる領域に集中している
✅ 強みとは相対的なもの。競合分析と自社の数字を照らし合わせて初めて見える
✅ KPIを設定し、毎月モニタリングすることで、データに基づく経営判断ができる
という3つのポイントです。
「決算書は難しい」
「数字は苦手」
そう思う気持ちは、よく分かります。
しかし、経営数字は、あなたの会社の”健康診断結果”です。
健康診断を受けずに「なんとなく元気だから大丈夫」と思っていたら、
気づいたときには手遅れ…ということになりかねません。
逆に、毎月数字をチェックする習慣をつければ、
「ここに問題がありそうだ」
「この強みをもっと伸ばそう」
といった、未来に向けた戦略が見えてきます。
感覚経営から脱却し、数字で自社の強みを見える化する——
その第一歩を、今日から始めてみませんか?
📄 参考記事(ダイヤモンド・オンライン)
「自社の強みを考えるときの、3つのポイントとは?」
https://diamond.jp/articles/-/381499
【経営数字でお悩みの経営者の方へ】
「試算表の見方が分からない」
「自社の強みを数字で把握したい」
「キャッシュフロー経営を実践したい」
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。
経営数字を”使いこなす”ためのサポートをいたします。

