毎月、税理士から試算表を渡されます。 「先月は売上が〇〇万円で、利益は△△万円です」と説明を受けます。 「わかりました」と答えます。でも、本当にわかっているでしょうか。
そもそも「黒字になる売上」を知っているか
試算表の読み方を学ぶ前に、もっと根本的な問いがあります。
あなたの会社は、月いくら売れば黒字になるのか。
この数字を即答できる経営者は、実は多くありません。 「なんとなく〇〇万円くらい」という感覚はあっても、きちんと計算したことがない、という方がほとんどです。 感覚で経営することの怖さは、まさにここにあります。
この「黒字になる売上高」のことを、損益分岐点売上高といいます。
損益分岐点は「固定費」と「変動費」で決まります
難しそうな言葉が並びましたが、仕組みはとてもシンプルです。
会社の費用は、大きく2種類に分けられます。
固定費:売上に関係なく、毎月必ずかかる費用です。 家賃・人件費・リース料・保険料などがこれにあたります。 売上がゼロであっても、この費用は出ていきます。
変動費:売上に連動して増減する費用です。 仕入れ・外注費・材料費などがこれにあたります。 売上が増えれば増え、売上がゼロであれば(ほぼ)ゼロになります。
損益分岐点を理解するには、この2つを分けて考えることが出発点です。
「固定費を稼ぎ切る売上」が損益分岐点です
順を追って考えてみましょう。
売上から変動費を引いた残りを、**粗利(限界利益)**といいます。 この粗利が、固定費をちょうど賄えるポイントが損益分岐点です。
たとえば、こんな会社を想像してみてください。
- 固定費:月200万円
- 変動費率:売上の40%(100万円売れたら40万円かかる)
この場合、粗利率は60%になります。 固定費200万円 ÷ 粗利率60% = 約333万円
つまり、月333万円売れて初めてトントン。それ以上売れて、ようやく黒字になります。
「なんとなく300万円くらいあれば」と思っていた経営者が、実は毎月赤字ギリギリだった──こういうことが、計算するとはっきり見えてきます。
「知らなかった」では、これ以上済まされません
損益分岐点を知ることは、経営の「地図を持つ」ことに等しいと思っています。
地図のない登山は遭難に直結します。 同じように、損益分岐点を知らない経営は、毎月自分がどこにいるかわからないまま走り続けることになります。
感覚だけで乗り切れる時代は、もう終わりに近づいています。 数字を武器にできる経営者だけが、次の局面でも生き残っていけます。
難しい話ではありません。自分の会社の固定費と変動費を、一度整理してみるだけでよいのです。
まず「知ること」が、経営を変える最初の一歩になります。
今日のアクション:自社の固定費の合計金額を、今月の試算表で確認する

